がん保険は、がんの医療費をカバーするための保険です。「20代でもがん保険が必要なのか」「がん保険に加入するメリット・デメリットは?」このような疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、がん保険の加入率やがん罹患率などのデータを参考にしながら、20代にがん保険が必要なのかを解説します。がん保険の選び方も紹介しているので、これから検討しようとしている人は、ぜひ参考にしてみてください。
がん保険とは
そもそもがん保険とは、名前の通りがんに特化した保険です。よって、がん以外の病気やケガに対しての保障はありません。
がん診断時や治療ごとなど、さまざまなシーンに応じて給付金の受け取りが可能です。受取額は、各がん保険によって異なります。
がん保険の主な保障となるがん診断給付金とがん治療給付金は、以下のような特徴があります。
がん診断給付金 | ・医師よりがんと診断された時点で受け取れる ・1回あたり受け取れるのは、50~200万円が多い ・使用用途に決まりがないので、治療前の初期費用や、治療費以外の備えとして使える |
がん治療給付金 | ・三大治療(手術・放射線・抗がん剤)を受けたときに給付される保障 ・保険会社によって、給付額や受取頻度は異なる ・治療ごとに受け取れるため、長引く通院治療や、収入減少にも備えられる場合がある |
入院や手術給付金が受け取れる医療保険ではカバーできない部分を、がん保険は補填できます。たとえば、がん治療にかかるまとまった初期費用や長期的な通院費用の部分です。
20代にがん保険は必要なのか?
結論、がん保険は収入や貯蓄が不安定な20代こそ加入しておきたい保険の一つです。万が一収入や貯蓄が不安定な状態でがんになったときに、医療費をまかなえない可能性があります。
ライフステージが変わることで、がん治療により貯蓄を減らしたくない、というニーズが出てくることも考えられるでしょう。
また、20代でも罹患率の高い女性特有のがんに備えておく必要があります。20代後半から、子宮頸がんや乳がんの罹患率が高まり、年代を追うごとに発症率が上がります。異常が発見されてからでは手遅れになるおそれもあるため、早めの備えが大切です。
20代のがん保険の加入率
生命保険文化センターの調査によると、がん保険やがん特約に加入している割合は39.1%です。よって、約40%の人が保険でがんへの備えをおこなっていることがわかります。
年代・性別ごとの加入率は以下のとおりです。
男性の加入率(%) | 女性の加入率(%) | |
20代 | 14.0 | 21.9 |
30代 | 42.9 | 46.4 |
40代 | 46.4 | 50.6 |
50代 | 45.5 | 49.2 |
60代 | 45.0 | 38.2 |
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「特定の病気などに備える生命保険の加入率は?」
全体から比べると、20代の加入率は低く見えますが、社会人になったタイミングや結婚出産で加入する人が一定いると考えられるでしょう。
年代別がんの罹患率
厚生労働省の調べによると、日本人の2人に1人は生涯のうちでがんになるとされています。国立がんセンター2015年推計によると、新たな罹患者が年間で約90万人いるとわかっています。そのうちの約30%が20~64歳で罹患しています。
国立がんセンターが発表している2019年の全がんの年齢別罹患率は以下のとおりです。
人口10万対(人) | 男性 | 女性 |
20~24歳 | 21.2 | 29.8 |
25~29歳 | 31.5 | 55.2 |
30~34歳 | 48.0 | 110.0 |
35~39歳 | 76.1 | 192.0 |
40~44歳 | 123.6 | 326.8 |
45~49歳 | 194.7 | 483.8 |
50~54歳 | 357.2 | 579.7 |
55~59歳 | 673.0 | 692.0 |
20代後半から徐々に罹患数が増えていることがわかります。
また、がん治療における入院日数も短期化傾向にあり、15~34歳の平均入院日数は10.6日(令和2年)でした。平成26年の調査では14.0日だったため、入院が短期的になり、通院治療が多くなっていると想定できます。
20代でがん保険に加入するメリット
20代でがん保険に加入するメリットを3つ紹介します。
1.保険料が割安である
年齢を重ねるほどがんに罹患する確率が高まるため、月々の保険料は高くなります。若ければ若いほど割安な保険料で加入できるのが1つ目のメリットです。さらに、終身タイプのがん保険を選べば、年齢が上がるにつれ保険料が高くなっていく不安もありません。
また、月々の保険料が安いと、最終的に払い込む保険料の総額が抑えられる場合があります。たとえば、65歳まで保険料を払い込む場合、25歳の人と45歳の人では、払込年数の少ない45歳の人のほうが総額が安くなるように感じます。
しかし、45歳の人は月々の保険料が高くなっているため、月々の保険料✕払込年数を計算してみると25歳の人が安くなる可能性が高いということです。
2.健康なうちに加入ができる
がん保険は、一度がんに罹患する、もしくはがんに進行するおそれのある病気や症状が発見されると、加入できなくなる可能性が高い保険です。
健康診断の異常や、軽度の症状でも加入ができず、自分の入りたいがん保険を断念せざるを得ない可能性もあります。今は健康でがん保険の必要性を感じていなくても、将来のことを考えると20代で健康なうちに加入しておくのが安心です。
3.家計に与えるダメージを軽減できる
がんに罹患すると、治療によって収入が減ったり、医療費で貯蓄が減ったりすることも考えられるでしょう。
結婚して子どもがいる場合だと、生活費や教育費がかかっています。今まで経済的負担のなかった治療費や収入減が重なると家計への大きなダメージになることが想定されます。
がん保険には、治療費や働けなくなったときの収入減を補填する役割があるため、貯蓄を減らしたくない、最低限の生活費や教育費が担保できるようにしておきたい場合に有効です。
20代でがん保険に加入するデメリット
がん保険のデメリットは、加入している保険の見直しが必要になる可能性があることです。医療の進歩に合わせて、がん保険も日々新しいものが販売されます。加入したがん保険の保障内容が将来的にあわなくなるおそれがあります。
よって、その時代に適したがんの保障内容になっているか定期的な確認や見直しが必要です。場合によっては、新しい保険への加入が必要になるため、手続き等の手間がかかったり保険料が上がったりすることがあります。
また、20代で加入すると保険料が割安になるメリットがあります。とはいえ、月々の保険料が家計の負担になることもあるため、無理のない保険料で検討することが大切です。
20代のがん保険の選び方
20代のがん保険の選び方を5つのポイントで紹介します。1つずつ確認して、自分に適したがん保険を探していきましょう。
1.保障内容
がん保険の保障のなかでメインとなるのは、がん診断給付金とがん治療給付金です。さらに特約(オプション)として、以下のような保障があるので、必要な保障がないか確認してみましょう。
特約名 | 保障内容 |
がん入院給付金 | ・がんの治療のために入院したときに、日額で受取可能・日額(5,000円や10,000円)✕入院日数が支払われる |
がん手術給付金 | ・がんの治療のために手術をしたときに、一時金として受け取れる・契約時に金額を自分で決めた金額、もしくは入院日額✕倍率で支払われる |
がん通院給付金 | ・通院で治療を受ける場合に、日額で受け取れる・支払条件が各社で異なるため、詳細の確認が必要 |
先進医療給付金 | ・先進医療の技術額相当の支払いがされる保障・健康保険適用外の治療であるため、高額な治療費がかかる先進医療をカバーできる・技術料とは別に一時金の支給があるがん保険もある |
保険料払込免除特約 | ・がんと診断されて以降、保険料の払込がなくなる・治療費がかかったり、収入が減ったりしても保険料負担がなくなるため安心感がある |
20代のうちは、保険料が高くなりすぎない、特約はつけすぎないことが大切です。医療保険に加入している、もしくはこれから加入しようとしている場合、保障の重複にも注意してください。
まずはがん診断給付金とがん治療給付金を保障のメインとして考えましょう。
また、がん保険には、実損てん補型というタイプがあります。かかった治療費分の給付金が受け取れます。受け取った給付金だけでは治療費が足りない、ということを防げるためおすすめです。
2.支払条件
備える保障内容が決まったら、受け取るための条件もチェックしておきましょう。支払われる頻度や保障範囲などを重点的に確認します。
(例)
給付金の受取回数 | 1回のみの受取なのか、複数回の受取が可能なのか |
支払条件 | 2回目以降の給付金を受け取るにはどのような条件が必要なのか |
給付金の受取頻度 | 1年もしくは2年ごとなのか |
給付金の対象となるがん | 上皮内がんが含まれているか |
いざというときに、給付金が受け取れないということにならないよう、細かいところまでチェックすることが重要です。
3.保険のタイプ
がん保険には、定期タイプと終身タイプの2種類があります。
定期タイプ | ・保障される期間が定められている ・5年間や10年間、60歳まで、などの例がある ・終身タイプより保険料が割安・保険期間が終了すると、更新もしくは加入し直しとなる |
終身タイプ | ・一生涯保障 ・保険料は原則上がらない ・定期タイプに比べると保険料が割高 |
20代から加入するなら保険料が変わらない終身のかけすてがおすすめです。ただし、定期的に保険料や保障内容の見直しをしたいというニーズがある場合は、定期タイプにするのもよいでしょう。
しかし、保険期間終了時に更新することで保険料が高くなってしまうことに注意が必要です。
貯蓄性のあるがん保険もありますが、保険料が割高かつ途中解約すると元本割れのおそれがあります。保険料払込の余裕がある場合に検討することをおすすめします。
4.保険料の払込期間
保険期間が終身タイプのがん保険では、短期払、終身払いの払込期間が選べます。おすすめは終身払いです。保険料が割安になることや、将来見直しが必要になる可能性があるからです。
ただし、老後に払い込みを残しておきたくない、というニーズがある場合には60歳や65歳払いを選ぶと良いでしょう。前もって一生涯分の保険料を払い込めるため、老後に支払いが残らず、負担を減らせます。
5.保険料
長期的に継続可能な保険料であるか確認します。現時点での生活で払い込める保険料ではなく、今後ライフステージが変わっても負担のない金額かどうか考えましょう。
たとえば、結婚して子どもができた場合、生活費や教育費のための支出が増加します。がん保険以外の保険も必要になる可能性や、住宅ローンなどの固定費が増える可能性も考慮し、がん保険の保険料を決めましょう。
がん保険は複数の商品を比較検討しよう
がん保険の大枠がイメージできたら、複数の保険会社で保険料や保障内容の比較をします。保険料と保障内容のバランスがよいものを見つけましょう。
ただし、自分で数多くのがん保険を比較するのは時間と労力がかかります。保険の専門家にアドバイスをもらうのも一つの方法です。保険コンパスでは、無料で専門家が相談を承っています。
複数の商品から自分にあうものを選び、疑問や不安点を解消してがん保険に加入できるようにしましょう。
20代もがん保険は検討すべき!自分にあったものを見つけよう
20代でもがん保険の加入率や罹患率は必ずしも低いわけではありません。特に女性は女性特有のがんの罹患率も高まってくる年代にあたるため、がん保険の必要性は高いと考えられます。
健康かつ割安な保険料で加入できるうちに、自分にあったがん保険を見つけておくことをおすすめします。
「がん保険だけでいいのかな」「どのがん保険がおすすめなのか自分で選べない」そんな不安や疑問がある場合は、保険の専門家やファイナンシャルプランナーへの相談がおすすめです。
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