「まだ若いから生命保険に加入する必要ないよね?」特に10〜30代の方は、生命保険の加入の必要性を実感できず、こう思われる方が多いのでは?若い年代ほど加入率は低い傾向にあるものの、20代でも60.9%と半数以上が生命保険に加入しています。本記事では、若い人が生命保険に加入したほうが良い理由と、生命保険の加入率を詳しく解説します。

生命保険の加入率はどのくらい?

まず、生命保険の加入率を見てみましょう。個人年金保険を含む生命保険の全体の加入率は83.4%と8割以上の人が加入していることがわかります。カテゴリ別の加入率では、民間保険(かんぽ生命含む)が69.9%、簡保が2.6%、JAが6.7%、県民共済、生協等が14.2%となっています。

加入率全体83.4%
民間保険(かんぽ生命含む)69.9%
簡保2.6%
JA6.7%
県民共済・生協等14.2%

男女別の加入率

男女別で加入率に差異はあるのでしょうか。男女別の生命保険加入率は、男性は82.0%、女性は84.5%と女性のほうが加入率が高くなっています。これは、子宮がんや乳がん、子宮内膜症、子宮筋腫などの女性特有の病気の認知度が高まったことが大きいとされます。

男性82.0%
女性84.5%

年齢別の加入率

年齢別の加入率では、18〜19歳が29.3%、20代が60.9%、30代が83.8%、40代が90.8%、50代が88.7%と若者の加入率の低さが目立ちます。また20代の生命保険非加入の理由は「経済的余裕がない」が35.5%でもっとも高い結果になっています。

18〜19歳29.3%
20代60.9%
30代83.8%
40代90.8%
50代88.7%
60代84.8%

年収別の加入率

年収別だと100〜300万円未満が81.5%、300〜500万円未満が87.2%、500〜700万円未満が95.6%、700〜1,000万円未満が94.5%と年収と比例して加入率も高くなる傾向が見られました。世帯年収別だと300万円未満が65.2%、300〜500万円未満が86.1%、500〜700万円未満が92.9%、700〜1,000万円未満が92.8%と、同じような傾向が見られます。

年収別
100〜300万円未満81.5%
300万〜500万円未満87.2%
500〜700万円未満95.6%
700〜1,000万円未満94.5%
世帯年収別
300万円未満65.2%
300万〜500万円未満86.1%
500〜700万円未満92.9%
700〜1,000万円未満92.8%

ライフステージ別の加入率

ライフステージ別に加入率を見ていくと、未婚が62.8%、既婚(子供未就学児)が89.7%、既婚(子供が短大、大学生、大学院生)が95.0%、既婚(子供すべて卒業)が87.7%と、未婚の人の加入率が低いことがみてとれます。

未婚62.8%
既婚(子供未就学児)89.7%
既婚(子供が短大・大学生・大学院生)95.0%
既婚(子供すべて卒業)87.7%

種類別の加入率

生命保険の種類別に加入率を見てみると、がん保険が42.6%、就業不能等保険が9.1%、個人年金保険が21.7%、介護保険、介護特約が12.3%と、がん保険がもっとも多いことがわかります。

がん保険42.6%
就業不能等保険9.1%
個人年金保険21.7%
介護保険・介護特約12.3%

10〜30代が保険に加入したほうが良い理由

加入率で見ると10〜30代は少ないです。しかし、若いうちに保険に加入しておいたほうがさまざまなメリットを受けられます。

保険料が安くなる

年齢が上がると病気や死亡リスクが増えるため、保険料が高くなります。年間の支払い保険料平均を年齢別にみてみると、18~19歳で8.0万円、20歳代で13.0万円、30歳代で18.8万円、40歳代で19.0万円、50歳代で24.3万円、60歳代で18.8万円と、年齢が上がるにつれて保険料も高くなっており、50歳代でピークを迎えています。

18~19歳8.0万円
20歳代13.0万円
30歳代18.8万円
40歳代19.0万円
50歳代24.3万円
60歳代18.8万円

若くて健康だと選べる保険が多い

年齢を重ねると、持病や既往歴が増えるため、選べる保険が少なくなります。例えば、統合失調症、認知症、アルコール依存症、うつ病、糖尿病、慢性肝炎などの持病があると生命保険に加入できない可能性が高くなります。特別条件付き保険、引受基準緩和型保険、限定告知型保険や無選択型、無告知型保険を選択すると保険に加入できますが、保障範囲が狭かったり、保険料が割高になったりします。

急な出費に備えられる

老後は年金だけの生活になる可能性が高く、万が一貯蓄が少ない場合は生活が困窮してしまいます。まだ元気に働ける若いうちに保険料を積み立てておくことで、入院や手術、子供や孫のための教育資金などを工面できます。

10〜30代の人向け!生命保険の選び方のポイント

10〜30代で先々のことを考えて生命保険に加入するのは気が早いと感じるかもしれませんが、基本的に生命保険は万が一を想定して加入するものであり、早くから備えておいて損はありません。ここでは、シーン別に適した保険をそれぞれ紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

病気やケガに備えるなら

病気やケガに備えるなら、医療保険やがん保険がおすすめです。公的医療保険では、1カ月に支払う医療費が一定額を超えた分が払い戻される高額療養費制度と呼ばれる制度があるため、医療費が高額になってもある程度カバーできます。しかし、「先進医療」や個室や少人数部屋の指定で発生する「差額ベッド代」、「入院時の食事代」などは保険適用外のため実費負担となります。また、病気やケガで仕事ができない期間の報酬のおよそ2/3を補填する傷病手当金も、国民健康保険に加入している個人事業主は対象外です。医療保険やがん保険では、先進医療特約や差額ベッド代や入院時の食事代をカバーする入院給付金を受け取ることができます。

保険適用外に該当する費用
・差額ベッド代・事業補填費用・入院時の食事代

関連記事:医療保険の種類や制度を分かりやすく解説!選ぶ際のポイントも紹介

家族のために生活費を残したいなら

配偶者や子どもなど残された家族に生活費を残したいなら、死亡保険がおすすめです。

満期のある死亡保険には、収入保障保険と定期保険があります。

。収入保障保険は保険期間中に被保険者が死亡した場合に、保険期間が終了するまでの間、年金形式で遺族に死亡保険金が支払われる保険です。それにたいし、定期死亡保険は一括で支払われます。また、両者は受け取り方法だけでなく、受取金額も異なります。収入保障保険は年金形式の性質上、加入直後がもっとも支給される金額が高くなります。保険期間が経過するごとに満期が近づくので受け取る保険金が少なくなります。

 定期保険収入保障保険
受け取り方法一括年金形式または一括
受け取り金額固定加入直後がもっとも高い
保険料一定一定

関連記事:掛け捨て型死亡保険の特徴とは?どのような人におすすめかも解説

働けなくなる場合に備えるなら

働けなくなるリスクに備えるなら、所得補償保険や就業不能保険に加入しましょう。所得補償保険、就業不能保険は病気やケガが原因で働けなくなった期間の収入を補填してくれる保険です。両者は似た性質をもつ保険ですが、所得補償保険は損害保険会社が、就業不能保険は生命保険が取り扱う保険となります。保険商品によっては、メンタルヘルスサポートや社会保険労務士紹介サービスなどが付いているものもあります。

関連記事:就業不能保険が必要な人と必要ない人の特徴とは?働けないときの公的制度も紹介

老後資金を貯蓄するなら

老後資金を貯蓄するなら、養老保険や個人年金保険がおすすめです。養老保険は契約期間中に被保険者が死亡した場合は死亡保険金が、契約が満期を迎えた場合は死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる保険です。死亡保障と同時に老後資金の貯蓄ができることから生死混合保険と言われることもあります。

一方、個人年金保険は60歳や65歳など所定の年齢まで保険料を積み立てて、払込期間が終了したら年金を受給できる生命保険です。受給期間は、受け取り期間が決まっていて、被保険者が死亡した場合でも遺族が一時金として受け取れる「確定年金」、受け取り期間が確定年金と同様に決まっていて被保険者が死亡すると支払いが終了する「有期年金」、被保険者の生存中ずっと支払われる「終身年金」の3種類あります。

関連記事:養老保険が満期を迎えたら|手続き方法・確定申告・税金の計算まで解説

関連記事:個人年金保険とはどんな生命保険?公的年金やiDeCoとの違いについても解説

まとめ

若いうちは健康で、あまり保険の重要性を認識できませんが、将来のための備えをするのが保険の役割であり、早ければ早いほど多くのメリットを享受できます。

ただし、貯蓄がないのに保険料を支払って目先の生活が困窮してしまう……ともなれば本末転倒です。自分が描く将来の人生設計を見据えて今は保険に加入すべきなのか、現在の貯蓄や生活と照らし合わせて、じっくり考えてみましょう。

保険コンパスなら、何度でも相談無料です

監修者プロフィール

宮里 恵
(M・Mプランニング)

保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

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